しあわせなみだは、パートナーが性被害に遭った男性のためのチャットボットTwo Dropsを開発しました。
このチャットボットはしあわせなみだが運営しているパートナーが性被害に遭った男性の語り場「寅さんのなみだ」がきっかけで誕生しました。
「寅さんのなみだ」では、同じ境遇の男性がそれぞれの悩みを共有します。
共通して参加者の人が抱く悩みは大きくわけて2つです。

・彼女のためにできること
・自分が生きづらさを感じるようになったこと

１つ目は、彼女を支えたいという思いから自分にできることはないかと模索しますが、『誰にも相談できなかった』という人が多くいます。
彼女にどうして欲しいか聞くことも難しいですが、彼女のプライバシーに大きくかかわる性被害の事を他人に相談することははばかられます。
また、境遇が特殊なため検索しても具体的な解決策は容易に見つかりません。

２つ目は、男性社会で生きていると性の話がしばしば出てきますが、彼女が性被害に遭ったことでこれまで何とも思っていなかった話題や言動に嫌悪感を感じるようになる人がたくさんいました。また、多くの場合、加害者は男性であるため、彼女を傷つけた憎たらしい相手と共通点があることに嫌悪感を抱くなど生きづらさを感じますが、直接被害に遭っていないからと、そのことを認めることが難しいということがあります。
自分が直接被害に遭ったわけではないこと、彼女の方がつらいんだという気持ちから自分の気持ちに蓋をしてしまいがちですが、「二次受傷」という言葉があり、直接ではなくても性暴力に苦しめられている人は皆被害者といえます。

そのため、サポートが必要な存在といえますが、現在、公的な犯罪被害者のパートナー支援は存在しません。
パートナーの存在は性被害の回復を後押しすることもあり、誰かに相談できない閉ざされた環境は共倒れの危険もあります。
被害当事者の回復のキーマンともいえる存在が支援から漏れている現状があります。

間接的に被害当事者を支えることにもなるパートナーの支援の必要性を知っている私たちは、パートナーが性被害に遭った男性のためのチャットボット「Two Drops」の開発を決意しました。
もちろん、カップルの関係は男性と女性に限定されるものではありません。
今回、対象を男性に限定しているのは、男性社会に生きるからこそいだく特異な生きづらさにフォーカスすることが私たちにはできるからです。
関係性が多様化すれば課題も複雑で多岐にわたるので、将来的にはその点もカバーできるようにしたいのですが、これが私たちの限界といえるでしょう。

今回は１か月の限定サービスとし、性暴力支援におけるAIチャットボットの有用性を調査することも兼ねています。
有用性が認められれば、性暴力によって起きる多様な問題をカバーできるシステムの構築や回答の精度、質の高いものが必要であることを訴えることができます。
どうか、「良かった」「悪かった」どんな意見でもアンケートまでご協力いただけますと幸いです…!

あらゆる性が、性暴力の被害者にも加害者にもなりえます。 またパートナー関係は異性に限定されるものではありません。 Two Dropsは、「寅さんのなみだ」を男性パートナーが運営してきたこと、日本におけるジェンダー差別が、パートナーである男性の葛藤の背景にあること等を踏まえ、第一弾として、パートナーが性被害を経験した男性を対象とした設計となりました。 今回のTwo Dropsを契機として、性暴力被害に苦しむ誰もが24時間365日匿名でアクセスできる、インターネットを活用したサポートシステムを検討してまいります。

 

一方で、azureを利用することによる、サービスの限界もあります。 無料で提供されているChatGPTは、入力内容に対し、世界中のウェブサイト等で学習した内容を元に、回答しています。 これに対し、Two Dropsで表示される回答は、しあわせなみだが作成した文章（パートナーが性被害を経験した男性から想定される質問と回答、A4サイズで約50枚）が、元になっています。 このため、想定していない質問が入力された場合、適切な回答ができず、誤った回答をする可能性があります。

 

azureの特性を踏まえ、Two Drops は、期間限定リリースとしています。 ChatGPTによるサービスの提供を検討していくために、「この回答は不適切だった」「こういう質問にも回答できるようにしてほしい」といったご意見を、ぜひお寄せください。